きっかけ
Y様 88歳 男性 要介護2
定年退職の後、特にすることもなく家に閉じこもりがちだったY様。長女夫婦と同居していますが、5年前に奥様と死別してからはますます外出が減り、活動意欲も低下していました。一年ほど前、急に歩けなくなり、緊急で入院したところ、下肢筋力の低下に加え、脳が委縮していることが分かりました。
本人・ご家族の希望
長女は下肢筋力低下で日常動作に見守り、介助が必要で、お風呂やトイレ誘導も億劫で拒否し、失禁しているような状態を何とかしたいと思っていましたが、本人は意欲が低下しており、自分から何かを望むような意向は示しませんでした。
ケアマネジャーの提案
ケアマネジャーはY様の意欲低下が介護の妨げになると考えました。仕事をしていた時は規則正しく生活されていたとの話を聞き、週3日のデイサービスの利用を提案しました。週3日、デイサービスに行くことを生活の中の習慣、役割と認識してもらうことが意欲向上につながるのではないかと考え、デイサービスでは下肢筋力の向上のリハビリとデイサービス内での役割を検討してもらうよう依頼しました。
デイサービスでの様子
利用の初日、家族が説得してもデイサービスに行くことを拒否していたY様でした。しかし、事態を予測していた男性職員がかしこまって「ご案内します。本日はよろしくお願いします。」とあいさつすると、「こちらこそよろしくお願いします。」と手を引かれながらも車に乗り込みました。デイサービスではY様には「仕事」と意識されるような声掛けを心掛け、新聞整理などの「役割」をお願いしながら、リハビリなどにも取り組んでもらいました。
デイサービスを利用するようになってから
Y様ははじめのうちはデイサービスに行くことを拒否されることが続きましたが、そのたびに職員が声掛けして送迎車に乗ってもらっていました。また、家に帰ると疲れた様子で、そのまま横になっていました。
しかし、2か月ほど経過すると、次第にデイサービスに行くことが習慣となり拒否することがなくなりました。家に帰ると疲れた様子ではありましたが、トイレに行くことを拒否するようなこともなくなりました。以前のように何の意欲もない様子とは違い、「お寿司が食べたいな」などと、自分から話すようになりました。デイサービスのでの入浴も楽しみにされているようです。
何の意欲もなく、動くことさえままならない状況での介護はご家族様にとっても大変なことでしたが、デイサービスの利用で生活における意欲を取り戻すことができ、介護負担が大きく軽減することができました。