きっかけ
S様 男性 87歳 要介護4
S様はご自宅で次女様と二人暮らし。脳梗塞や前立腺肥大などで車いす生活でしたが、体が大きくご家族の介護負担が大きくなっていました。平日はデイサービスで過ごし、土日は家族の介護で生活しています。
本人・ご家族の希望
S様は元々近所を散歩するのが日課でした。お仕事でもあちこちに出かけていたため、もう一度歩けるようになりたいと思っていました。家族は「歩けるようであれば歩いてもらいたいけれど」と、あまり期待できないと思っていたようです。
それでもS様はいずれは娘様とドライブに出かけて歩いて楽しめるようになりたいと思っていました。
生活リハビリのプログラム
S様の希望に対し理学療法士は
・立ち上がりや立位保持の安定
・下肢筋力の強化
・移乗時の介助量の軽減
・歩行能力の獲得
を目的として設定しました。
そして生活リハビリプログラムとして
理学療法士:車椅子orベッド上背臥位での関節可動域訓練、徒手による 下肢の筋力増強、立ち上がり訓練、立位での足踏み運動、歩行訓練
看護師:スクワットによる下肢筋力トレーニング
介護士:トイレ時の介助量を減らし、自立にて実施する
という計画を作成しました。
車椅子からの立ち上がりは手すりがあれば出来る様に
開始当初はバルーンカテーテル留置し車椅子生活で、車椅子からの立ち上がり自体困難で保持はできないレベルでしたが 、手すりに掴まって立ち上がり訓練を反復して行うことで、手すりを用いれば見守りだけでスムーズに立ち上がれる様になりました。
歩行器での歩行訓練が出来る様に
立ち上がりがスムーズになったことで、次のステップとして、歩行の訓練を始めました。まず、足踏み運動を行い、両手引きにて短距離での歩行訓練を実施していきました 。徐々に歩行距離を伸ばしつつ、介助量を減らしていき、現在は休憩を挟みながらデイルームから食堂まで3往復(30m×3)を片手引きにて歩行可能になりました。その際ほとんどセラピストに頼ることはなく歩けるようになっています。
生活リハビリを通じて
開始当初はあまりリハビリに前向きな方ではなく、リハビリ中も笑顔など見られなかったのですが、現在は「今日はやってくれるか?」「歩きたい」との言葉を ご本人の方から頂けるようになり、リハビリ自体を非常に楽しみにして頂いているようです。
しかし、その後体調を崩され入院され、退院後もまた立ち上がりが大変になってしまいましたが、リハビリを再開し、再び量手引きの短距離り歩行ができるようになっています。