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介護が必要となったきっかけ

S様　女性　86歳　要介護1、 12年前に夫に先立たれ、一人暮らしとなったS様は年金で生活していました。ある日、久しぶりに実家に戻った長男が、部屋の中が散らかっていることで異変に気付きました。よく調べてみるとトイレットペーパーが大量に買い込んであったり、冷蔵庫の中には期限切れの食材の他に印鑑がしまってあったりと明らかに様子がおかしく、いつも診てもらっている医師に相談したところ、アルツハイマー型認知症と診断され、地域包括支援センターからケアマネジャーを紹介されました。認定調査の結果は要介護１でした。

本人・ご家族の希望

市外に住む長男・長女の希望は「どこかの施設に入ってみてもらう方が安心」と考え何度も説得しましたが、本人は特に困った様子もなく「私は大丈夫だし、お父さんと暮らしたこの家で暮らしたいの。最期までここにいる。」と聞き入れる様子もありませんでした。仕方なく家族はケアマネジャーに一人暮らしを続ける方向での支援について相談することになりました。

ケアマネジャーの提案

S様は認知症こそありますが、幸い身体的には健康そのもので、掃除や洗濯はできる状態でした。しかし、掃除してもごみをそのまま放置したり、洗濯物を干さずにそのままにしたりといった様子が見られるため、支援が必要でした。 そこで、自宅での生活をしつつ、規則的な生活と、人と交流することで認知症の進行を抑制をするために週３日のデイサービスの利用を勧めました。また、買い物や掃除、洗濯、デイサービスの準備はご自身で行うことができるように見守るために訪問介護も週３日利用することになりました。 S様が一人で暮らすにはもう一つ大きな問題がありました。それが金銭管理です。印鑑や通帳などの貴重品の管理をご自身で行うのはご家族も危ういと感じていましたが、頻繁に自宅を訪問することも難しい状態でした。そこで、社会福祉協議会の金銭管理サービスを利用することになりました。

サービスの利用を開始して

元々近所との交流もあまりなく、買い物以外は自宅に閉じこもがちだったS様ですが、デイサービスに行くことで人との交流の機会を持つことができました。はじめはデイサービスの雰囲気に戸惑っている様子でしたが、入浴や個別機能訓練など、職員と１対１になる機会にいろいろと話を聞くことでだんだんと打ち解けていきました。 また、訪問のヘルパーさんとも一緒に掃除をしたり、買い物に出かけたりといった中で信頼関係が築けたようです。 サービス開始から１年ほど経過しましたが、大きな問題もなくご自宅での生活を続けていられるのが何よりだと思います。