施設入所が必要となったきっかけ
K様 女性 88歳 要介護1
長男と長男の妻、高校生の孫との4人暮らし。2年前自宅で転倒し、腰椎圧迫骨折により入院しました。退院後リハビリを終えて自宅に戻った際に介護保険を申請し、週2回デイサービスを利用していました。認知症は特になく、年相応の物忘れはあります。
もともと同居している長男の妻とはあまり関係が良くありませんでしたが、介護が必要となったことから負担が多くなり、だんだんと不満が募っていった様子です。そのことが本人も気になり、思い切って施設に入りたいと思い、施設を見学しました。
本人・ご家族の希望
本人は長男妻の世話になることが、長男妻は介護により自身の生活にも制約が出てきたことに精神的負担を感じていました。本人はある程度自分の好きにできて、安心できる施設に入りたいと考えています。長男夫妻は本人の希望ならそれに任せて、施設での生活をサポートしたいと考えています。
施設の提案
入居に際しては施設内で歩く距離が長くなることから歩行器の仕様を提案しました。また日中、居室に閉じこもりきりでは身体機能、認知機能を低下させる恐れがあるので、併設のデイサービスを利用して、運動したり、他の入居者と交流したりすることを提案しました。またお風呂も週3回、デイサービスで入ります。
習慣であるヨーグルトは施設で注文して朝食時に提供し、その他の買い物は施設のサービスを利用します。
家族には月1回の定期的な整形外科への通院を依頼し、都合が悪い時は施設が代行します。
お盆や正月などの親戚が集まる時には自宅に戻ります。
施設に入所して
K様は入所したばかりの不安よりも、精神的な負担から解放されたようでした。年齢や境遇が近いF様とは居室が隣で、デイサービスでも席を隣にしました。お互いの身の上話をしたようで、すぐに意気投合し、食事や歩行訓練の時、居室に戻る時などいつも一緒に過ごし、明るく元気に過ごしています。
変化が見られたのはご家族様も一緒だったようです。後日長男様とお話しする機会があったときに、「妻から、『実は負担に感じていたと気づいた』と言われた。『長男の嫁だからしっかりしなければと思って無理していたのかもしれない。お義母さんが自分から施設に入りたいと言ってくれてホッとした。』と言われました。母親のことを任せきりにしていてすまないと謝ったよ。」と話されていました。また、「妻も笑っているときが増えたように思う。『お正月にお義母さんが帰ってくるときは美味しいもの用意しなくちゃね』と言ってくれた。お互い離れた方がいい関係ってあるんだな」とも話されていました。
お互いに安心できる環境で暮らすことで、家族関係を改善することもできるんだとあらためて気づかされました。